京都
ーベル部
バーベル部は科学的なトレーニングによって徹底的な肉体改造を目指す体育会所属のクラブです。

リバトラナイト

2017年度 リバトラナイト

【報告】

2017年8月19日(日) 16:00開始
会場: 渋谷ハーレム (ナイトクラブ)
出場者: 松ヶ迫直也
結果: 男子フィジーク ショートクラス優勝 (14名出場)

5月頃、新入部員の松ヶ迫くんがサマースタイルアワード2017に出場し、見事フィジーク部門で優勝したという報せを受けて、是非ステージに立つ姿を見たくなりました。アメリカ留学中には何度かNPC(最大手アマチュアボディビル団体)のボディビル大会の男子フィジーク部門を観戦した事もありますが、日本ではどんな選手が評価されるのか、選手層は、との興味もあった為に、初観戦となるこの8月の大会は特に楽しみにしていました。

ここで私自身の理解整理の為にも簡単にまとめると、男子フィジークは比較的新しい競技で、世界最高峰のボディビル/フィットネスの大会であるオリンピアに部門として取り入れられたのが2013年であり、日本のボディビル団体JBBFが第1回全国大会を開催したのは2015年となっています。 しかし日本では「細マッチョ」という言葉ははるか前から浸透していましたし、「割れた腹筋」「サーフパンツ」「かっこいいカラダ」というイメージが分かりやすく、また他競技からの転向または並行がボディビルよりも容易ということもあり、競技人口や大会観客動員数は急激に増えています。 一方でルールや評価基準においてはまちまちな部分があり、極端にバルクアップされた筋肉や限界までの絞り込み、筋肉を誇張するポージングなど、ボディビルのアピールそのままでは減点対象となるのは共通しているものの、サーフパンツの種類に制限があったり、更にそのサーフパンツのデザインや顔の表情、髪型に至るまで評価対象になったりと、団体/大会ごとに様々なケースがあるようです。
関連して海外のことについてもう少し述べると、「女性フィジーク」は男性フィジークとは異なり大腿部も他の部位と同様に評価されるなど、実質的にボディビルと同様となっています。 女性は他に、研ぎ澄まされた肉体美を左右対称のポーズで表現する「フィギュア」、絞り込みは抑えつつ動きのあるポージングでセクシーさを含めてアピールする「ビキニ」、フィギュアと同基準で肉体美を評価しつつ、チアリーディングや新体操のようなパフォーマンスと総合して順位付けをする 「フィットネス」などもあり、本当に多様化が進んでいます。 その結果、男子ボディビル単体の時代よりも遥かに競技人口層は広がっています。 東京オリンピックを控えた今、日本でも更にフィットネスブームが広がる可能性は大いにあるでしょう。

なお今回の大会の審査基準は
・バランス(逆三角形)が取れた適度な筋肉量
・無駄な脂肪を削ぎ落とした体
・ステージ上でのポージングや立ち振る舞い
となっており、これらを前後左右のリラックスポーズで比較審査します。 ボディビルと違い、決勝ラウンドでも音楽に合わせた個別のポージングはありません。

当日は週末出勤後に会場に向かった為に18:00過ぎの到着となりましたが、予選審査集計中の休憩時間に滑り込めました。 普段はナイトクラブなので観客席は無く、何十人もの観客が立ったままでの応援というのが独特でしたが、ステージとそのライティングは十分で、ステージ横にはクラブならではの大型スクリーンもありました。 観客はと言えば、100kg超級のラガーマン風の外国の方もいれば、若いOL風の女性もいるなど、様々でした。 ただ皆がTシャツやタンクトップというラフな服装で、明らかに仕事帰りのワイシャツにビジネスバッグという姿なのは私一人で、かなり目立っていたようですが(笑)

到着後間もなく休憩が終わり、U20の決勝進出者発表があり、次いで松ヶ迫くんの出場するショートクラス(170cm以下級)の決勝進出者発表が始まりました。 ゼッケン番号が順番にコールされ、ステージに選手が上がります。 14名全員がステージに並ぶまではこちらも緊張しましたが、26番の松ヶ迫くんがステージに登場した瞬間には私にも笑みがこぼれました。 青いサーフパンツで大腿部は隠れているもののキチンと全身が仕上がっているのが分かり、決勝進出は確実だと確信したからです。 しっかりとシックスパックが浮き出た腹筋と横に広がる肩の筋肉は逆三角形を作り出し、堂々としたポーズに笑顔。 当然決勝進出者としてコールされて一安心でした。 決勝進出の8人全員が揃った時点でもボディビル基準ならば一位か二位かと感じましたが、それ故にフィジークとしては減点対象となるかも、ということが気がかりでした。

引き続き行われた決勝審査でのファーストコール・・・「29番! 32番! 26番! 30番!」・・・ 松ヶ迫くんの26番を飛び越えて29番から始まったために一瞬驚きましたが、結果的に松ヶ迫くんがステージ中央に立つ形での比較となりました。 その第一印象は、「十分優勝できる」でした。

決勝進出者の中には、より仕上がりが厳しかったり、部分的な筋量が際立っていたりする選手も居ましたが、全身を見た時に際立つ肩の発達が一番だったのが松ヶ迫くんでした。 先述の通り、ボディビルと違って筋肉をフレックスするポーズが取れない以上、自然体で目立つ肩の存在は大きな武器となります。 実際にその後も明らかにトップグループとしての比較が続きます。 一方で心配なのは、大胸筋の弱さでした。 肩が飛び抜けている分、却って胸の厚みや形が明確な弱点として映りました。 また、ポージングに関しては正面と背面はスキがない一方で、サイドポーズの時に前のめりの姿勢となってしまい、安定感を欠いていました。 フィジークは基本的に左右非対称のポーズの為、少し踵を浮かせたり、軽く上体をひねったりするのが立体感を増しシルエットを良くするテクニックの一つかと思いますが、それが裏目に出たのでしょう。
そこで改めて上位グループの選手を見渡してみると、ファーストコールで真っ先に呼ばれた29番の選手こそが肩はやや弱いが胸筋の厚みは一番という真逆のタイプでした。 ポージングも非常に安定しており、一番の脅威と感じました。 実際にその後も松ヶ迫くんとの一騎討ちに近い形での比較が続きます。 松ヶ迫くんのトップ3入りは確実でしたが、先述の胸の弱さとポージングの不安定さは比較を重ねるほどに露呈され、優勝の行方は予断を許さない状況です。

十分な比較審査の後ショートクラス決勝審査は終了し、順位発表は最後の表彰式を待ちます。 引き続き行われたミドルクラス(175cm以下級) 及びトールクラス(175cm超級)の決勝審査もレベルが高く、見応えがありました。 ところで、特にミドルクラスでは完全なバルク型ボディビルダーの選手が優勝確実という流れで比較審査が進行していた為に、少なくともボディビルダー体型が理由での大幅減点は無い、と一安心でした。

全クラス決勝審査終了後に、結果発表が始まります・・・ ショートクラスでは8位から順にゼッケン番号と名前がコールされていきます。 ボディビルと違ってポーズダウンは無い中での発表ですが、会場の興奮は高まります。 トップ4までは余裕を持って観ることが出来ましたが、そこからは緊張しました。 3位には松ヶ迫くんに次いで肩が良い32番の選手がコールされました。 そしてトップ2である松ヶ迫くんと29番の選手がステージ中央に並び、優勝のコールを待ちます。 松ヶ迫くんの肩が作るアウトラインか、29番の大胸筋のバルクが醸す安定感か・・・ 優勝者としてコールされたのは、26番の松ヶ迫くんでした。 良かった!! 本人も一瞬驚いた後、安堵の表情を浮かべていました。
その後 松ヶ迫くんはショートクラス代表としてミドルクラス、トールクラスの優勝者と競いました。 ここではさすがに先述のミドルクラス優勝者の圧倒的筋量が前では分が悪く、総合優勝はなりませんでした。 しかし、本当によく頑張ったと思います。 お疲れ様でした。 なお私が実際に応援に行くことは伝わっていなかった為、残念ながら大会後に本人に会って労いの言葉をかけることは出来ませんでしたが、次回大会では是非どこか食事に連れて行きたいです。

後日スコアカードを見てみると、 29番の選手とは本当に僅差だったようです。 両者とも一次集計では同点(10pt)でしたが、29番の有効票内訳が[ 2位, 2位, 2位, 2位, 2位 ]だったのに対し、松ヶ迫くんは[ 4位, 3位, 1位, 1位, 1位 ] と、ばらつきつつも1位票をとった事が優勝の決め手だったようです。 審査というのは難しいと実感しましたし、松ヶ迫くんには今後も勝つ為に分析と対策をして欲しいと思います。 なお、2004年に全日本学生ボディビル大会で優勝し、その後、2010年にはJBBF東日本大会オーバーオールを制した西谷芳春選手の名前もスコアカード上で見つけ(当日欠場)、もし出場していたらどうなったか、審査基準を狂わす存在となっただろうか、と新たな思いがよぎりました。 ともかく、次の大会が今から楽しみとなりました。

ここで最後に苦言を。 最初に書いた通り、私も楽しみにしていた大会でしたし、その為に他のOB方に応援を呼びかけもしました。 ところが神経質になっているとは言え、松ヶ迫くん自身が部員に対して「来てほしくない」と応援を拒み、更には私が他のOB方にも声掛けをしている事を知った上で、「知らないOBが来てもらっても困る、来ないでほしい」(原文ママ)と拒絶し、直前になってHP上から活動予定を削除するなどの非常識な行動を取り、とても残念な思いになりました。 この観戦記も、放置された部員やOB方、その事態を防ごうとしなかった幹部たち、何より自身の成績だけで頭が一杯になっている松ヶ迫くん自身に向けたメッセージとして書くことを決めました。

大会での活躍は部の活動の集大成です。 選手はトレーニングに集中する一方で、他の部員に刺激を与える役割を果たして欲しいですし、幹部も大会出場や応援という形で部内交流を活発化して後輩を育てて欲しいと強く願います。 そうして感化された後輩が更に後輩へと良い影響を伝え続けてくれれば、部は益々発展するでしょう。 逆に選手が自身の成績のみを考え最低限の礼儀すら失したり、組織体制としてそれが見逃されたり、更にはそのようないい加減な環境が当然と新入部員が最初から考えてしまえば、部とは名ばかりの、自由さやストイックさを勘違いした、自己中心的かつ非常識な「筋肉バカ」の集まりに成り下がってしまいます。 バーベル部で青春を過ごした私にとって、それは余りに寂しいです。

「松ヶ迫のこれからをぜひ、応援をしていただきたい」
というサマースタイルアワード決勝観戦記でOB黒川氏が記した言葉を、私からも現役部員に再び送りたいと思います。 是非とも「選手は大会に出場しさえすれば良い」「選手以外は普段から全く無関心」「その結果、出場記や観戦記を残さない」「集合写真も無い」「大会結果報告はOBの観戦記頼り」となってしまっている現状を改善して下さい。 特に幹部は今回実質何もしなかった事を猛省し、日程の事前周知(部内およびOB)、当日の写真撮影や観戦記執筆担当決定、その後の結果報告を含め、大会時の具体的な段取りを責任を持って明文化した上で次の世代に繋げて欲しいです。 部の資産も増えた今、部員全員が応援に向かえるよう交通費補助額を調整する事も出来るでしょうし、部員同士が普段から交流できるよう、合同練習を再開させてもいいかも知れません。 また、何より選手であり主将である松ヶ迫くん自身も頭を冷やして今回の大暴走を反省し、詫びるべきところは詫びた上で、出場記もきちんと残し、後輩たちの目標となる事を願っています。 そして今後のバーベル部の発展を担って欲しいです。 私も改めて 「これからをぜひ、応援していきます」という事を約束するとともに、部の益々の発展を期待しています。


大会結果 (敬称略)

ショートクラス(170cm以下)
優勝 松ヶ迫 直也
2位 小西 拓洋
3位 小野澤 秀治
4位 マッスル ラビット
5位 阿部 敬介
6位 齋藤 晶太
7位 橋本 圭右
8位 今村 修平

ジュニア(U-20)クラス
優勝 宮下 恭輔
2位 マッスル ラビット
3位 齋藤 晶太

ミドルクラス(175cm以下)
優勝 アントニオ コイケ (※オーバーオール優勝)
2位 タケチヨ
3位 高山 亮

トールクラス(175cm超)
優勝 二俣 輝
2位 三沢 篤
3位 草木 隼秀

文責
1998年入学 田中洋一




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