京都
ーベル部
バーベル部は科学的なトレーニングによって徹底的な肉体改造を目指す体育会所属のクラブです。

第一回 トレーニングをするタイミング

 皆さん、ウェイトトレーニングをどのタイミングでしていますか?食後すぐにしてはいけない、 体調が悪い時にしてはいけない等のことはよく知られています。しかし、最近の研究では他にもトレーニングに 影響を与える物事があると分かってきています。  トレーニングフロアでは部やサークルの活動に生かそうとトレーニングに励む人々が多くいます。そのなかには トレーニングを活動の直前にする人、直後にする人、または活動がない日にする人と大きく3つに分けることが出来ます。 では、それぞれの場合について検証していきます。

1.活動の直前にする場合

この場合、トレーニングによる成長ホルモンの分泌は通常通り行われます。成長ホルモンは筋を育てる重要なホルモンで、筋増量の50%以上はこの作用であるという説があるほどです。また、脂肪の分解効果もあります。しかし、活動のため直後に食事は出来ず、筋肉をつけるという点では不利でしょう。また、疲れて活動に影響があるかも知れません。ただし、脂肪が分解され、燃焼しやすい状態にあるので体脂肪を減らすには効果があるかも知れません。

2.活動の直後にする場合

この場合、成長ホルモンの分泌が行われないという報告があります。理由は活動によって分解された脂肪が成長ホルモンの分泌を阻害するためと考えられています。よってこのタイミングにするのはおすすめしません。

3.活動がない日に行う場合

この場合、成長ホルモンの分泌も通常通りに行われ、しかも直後にプロテインや食事を取ることが出来るので、 筋肉をつけるのには最もよいと考えられます。これらのことを考えるとトレーニングは活動がない日にするのが最もよいと思われます。どうしても活動がある日にトレーニングをしたいという場合は活動からかなり時間あけてしたほうがいいと思われます。なお、活動後には成長ホルモンが分泌されなくなると書きましたが、これは長時間の場合であり、10分くらいの運動では特に影響がないという報告がありました。 よってウォームアップはしっかりとしましょう。

疑問、質問がある人は下のリンクから気軽に連絡してください。
バーベル部 黒川直樹  
参考文献 究極のトレーニング(石井直方)
筋の科学事典(京大医学部保健学科及び人環図書館蔵)

第二回 トレーニングの頻度

皆さん、どのくらいの頻度でトレーニングをしていますか?最適なトレーニング頻度は状況によって異なり、特定するのは難しいです。しかし、今から挙げる調査はその答えのヒントにはなるでしょう。トレーニング経験のない人の場合、 週2回のトレーニングがもっとも効果があり、この効果を100とすると、週3回で70、週1回で35、2週に1回で5となる。 この調査はトレーニング経験がない人が対象で、トレーニングをした部位も腹筋と固有背筋だけなので皆さんには少し合わないかもしれませんが、同一部位への週3回以上の筋肉トレーニングはやりすぎである、ということがわかる点でとても意義があります。 トレーニング経験がない人の場合、 ネガティブ運動(重りをゆっくりと降ろす運動)を高い強度(8RMで2セット)で行った場合、筋力の完全回復に3週間かかる。 この調査から、ネガティブ運動は筋に大きな負担となり、 やりすぎると部やサークル活動に影響が出るかも知れません。しかし、筋肉はこの運動に慣れていくという研究結果があり、ネガティブ運動を習慣的に行う人は週2度のトレーニングが効果的なこともよくあります。なお、高強度で行う数日前に比較的軽い重量でゆっくり丁寧にネガティブ運動をすることによってこの負担を大きく軽減できるという結果が得られています。ネガティブ運動を丁寧にすることは事故や怪我を防止するだけでなく大きな効果も得られるので、適切な量を適切な準備をして行いたいものです。 トレーニング経験のない男子大学生に2週に1度、 8週間のアイソメトリック運動を行った場合、筋力向上が見られたが、3週に1度、12週間の場合には筋力向上が見られなかった。 この調査から最低でも2週間の1度はトレーニングをしなければならないことが考えられます。逆に言えば1〜2週間トレーニングをしなくても(ベッドの上にずっといるなどの完全安静の場合を除いて) それほど筋力は落ちないことがわかります。よって筋力の点では多少休んでも不安がることは無いと言えるでしょう。ただし、再開時には軽めの重量を選択したほうよいでしょう)

上記の調査から、ウェイトトレーニングは高頻度で行うほどいいというわけでなく、むしろ同一箇所を毎日や1日おきトレーニングをすることはやりすぎであることが示されたと思います。今回のコラムが効率のよいトレーニングの実践に役立てば幸いです。

参考資料 低頻度のアイソメトリックトレーニングが筋力発揮に及ぼす影響(体力科学、Vol49,No6,P772日本体力医学会) 及び前回までの文献

第三回 こんなことしていませんか?

 トレーニング場を見かけるといろんなトレーニング法をしている人を見かけます。いろんな意図があるとは思いますが、基本的には部やサークル活動でのパフォーマンスの向上のためだと思います。しかし、中にはあまり効率的とは言えない方法をする人やそれどころか危なくて見ていられない方法をしている人を見かけます。よってこれを防ぐために、よくない例をいくつか挙げようと思います。

1. ベンチプレス

 ベンチプレスは肩への負担が大きく、また性質上危険性の大きな種目でもあります。だから勢いよく下げて、バウンドを使ってあげるのは怪我や事故の原因になるのでやめましょう。またフォースドレップス法を行うのも危険性が高く、お勧めできません。また、両足をしっかり地面につけて行わないとバランスを崩しやすいので危険です。パートナーがいる場合には足が浮いた時点で補助をしてもらったほうがいいでしょう。

2. バックプレス

肩のトレーニングにバックプレスを行う人をよく見かけますが、深く降ろしすぎている人をしばしば見かけます。無理やり下げようと努力している人もいます。この方法は肩関節の構造上、肩を痛める原因となるのでやめましょう。可動域を十分に取ることと混同してはいけません。バーベルのバーを耳の上部まで下げれば十分です。十分下げたい場合は、フロントプレスなら鎖骨まで下げても大丈夫です。ただし、むりやり上げようとして反りすぎるのは腰に負担がかかりすぎるのでやめましょう。

3. レッグプレス、スクワット

先の場合とは逆で、可動域を十分に取ってない場合がよく見られます。可動域を十分に取らないと足の筋力バランスが悪くなり、怪我の原因になりかねません。1RMの70%という比較的軽い重量でも十分効率よく筋肉をつけることができるので、安心して可動域を十分にとったトレーニングをしてもらいたいものです。

4. トレーニング全般について

 重量を挙げるときに反動を使ってまで素早く挙げようとする行う人もよく見かけます。しかし、これでは筋肉はつきにくいのです。筋力をつけるには筋肉をつけるのがもっとも効率ので、反動を用いずに素早く挙げて、丁寧に下げるのがよいでしょう。また、すばやい運動は部やサークル活動での技術練習でこそ身につけられるのでそのときに集中してするほうが効率がよいでしょう。


参考資料 Iron Man(ボディービルディング雑誌)及び以前までの資料

第四回 ストレッチについて

ストレッチの利点はよく知られており、可動域の拡大によるパフォーマンスの向上や、血流促進による疲労回復の促進などがよく知られています。しかし、ストレッチも様々な効果があり、時と場合、方法によってはよくない効果が現れることもあります。ここではそんなストレッチについて述べようと思います。

静的ストレッチ(スタティックストレッチ)

 反動をつけず、息を吐きながらゆっくりと伸ばしていくというよく行われている方法がこのストレッチです。筋の緊張を解き、疲労回復や柔軟性の向上に役立つので運動後に行うのは非常に効果的です。しかし、同時に一時的な筋力低下を引き起こし、それは1時間程度続くので運動前の準備体操として行うのは良くありません。

動的ストレッチ(ダイナミックストレッチ)

 しかし、運動時には筋力も柔軟性も必要です。この両方に効果をかねるのがこのストレッチです。拮抗関係にある筋肉を反復運動で交互に収縮させることで筋肉を伸ばすこの方法は、サッカーの日本代表のウォームアップで行っている体操を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。ただし、あくまでもストレッチなので無理やりな反動をつけてはいけません。また、軽く体が温まった状態でする方が安全かつ効果的です。

これらの点を踏まえて、ウォームアップやクールダウンの例を挙げようと思います。参考にして頂けると幸いです。 ウォームアップ ジョギングなどで体を温める→(静的ストレッチ。ただし一部位につき10秒以上はしない。省いても良い)→ダイナミックストレッチ→スポーツ別の技術を伴ったウォームアップ→試合、練習、トレーニング クールダウン その日の試合、練習、トレーニングでした運動を軽い強度で行う→ジョギング、またはダイナミックストレッチ→静的ストレッチ ウォームアップは徐々に強度を高め、クールダウンは徐々に強度を下げていくのがよい結果を生み出すコツのようです。なお、運動時はある程度体が温まったほうがよいパフォーマンスを得られるので体を冷やさないほうがいいでしょう。また静的ストレッチによる筋の緊張を解く効果は一部位につき30〜60秒ほど、痛くない程度に伸ばすのがもっとも効果的のようです。なお、痛くなるほど伸ばすのは筋を逆に緊張させてしまう上、筋組織の破壊や怪我を引き起こしかねません。何事も無茶はしてはいけないということです。

参考資料 勝ちに行くストレッチ(長畑芳仁、山海堂)、究極のトレーニング(石井直方、講談社)IDストレッチング(鈴木重行、三輪書店、医学部保健学科図書館蔵)

第五回 背中を鍛えましょう

 全身の中でも大きな面積を占め、あらゆるスポーツにおいて非常に重要な役割を持つ背中の筋肉ですが、トレーニングは難しく、また軽視されがちです。よってここでは背中の鍛え方について特集したいと思います。

デッドリフト

 固有背筋(下背部)を鍛えるのにとても効果的なデッドリフトですが、扱う重量も重く、負担が大きい種目です。よって1週間に1回ほど行うというのがウェイトトレーニングのみを行うパワーリフティングにおいても一般的です。また、1回のトレーニングで2セットまでにしたほうがいいように思います。背中を丸めたり反らせたりすると、背中をまっすぐにして行うときに比べ約3倍の負荷が背骨にかかってしまうので、背中は常にまっすぐになるようにしましょう。また、バーベルが体から離れるのも背骨を傷めます。大げさな表現ですが、常にバーベルが脚に密着した状態で上げ下げをしましょう。

バックエクステンション

 いわゆる背筋運動です。デッドリフトを入れた場合、固有背筋は週一度のトレーニングでも大丈夫ですが、週二回したい場合はこれをするといいでしょう。また、デッドリフトを敬遠しがちな人もこれなら大丈夫でしょう。上げるのは背中を反らさない位にしておき、代わりにしっかり下ろしきるとよい効果が得られるでしょう。

ベンドオーバーローイング

 上背を鍛えるのにとても優れた種目です。筋電図的研究ではこの種目だけで上背の全体が十分に鍛えられるという報告もあります。肩幅くらいで持ち、下腹部に向かって引くのがしっかりと効かせるコツです。デッドリフトの時と同様、背中をまっすぐに伸ばし、バーベルが脚から離れないようにするのが安全に行うのに重要でしょう。  ラットプルダウン  主に広背筋を鍛える種目です。頭の前に引くと腕の筋肉への関与が、後ろに引くと広背筋への関与がそれぞれ高まります。グリップ幅によって効き方が違うので、いろいろ試してみるといいでしょう。重量にこだわらず、広背筋に効いていることを意識しましょう。15回引ける比較的軽い重量でも十分に筋肉は付くので、焦って重量を上げないようにするのが大切です。  これらの種目はとても基本的ですが、十分に効果があります。今回のコラムが強い背中を身につけて、パフォーマンスの向上に役立てばうれしいです。

参考文献 筋力トレーニングのプル系5種目における上腕二頭筋, 広背筋および僧帽筋の筋電図学的研究(体力科学、Vol54、No2、P159〜168) 京大人環、総人図書館にあった腰痛についての本(名前を忘れてしまいました…後で確認します)